ワインのプロに聞いた!知っておくと楽しめるボジョレー・ヌーヴォーの全て
【2019年の解禁日は「11月21日(木)」です】
今年もボジョレー・ヌーヴォーの解禁日が近づいてきました。
バブルの頃は、毎年解禁日になると行列に並んで大騒ぎしていた様子をニュースで見たのをよく覚えています。
最近では、ブームもやや下火かもしれません。
10年間ソムリエをつとめた私からすると、一年に一度しか飲めないこのワインを楽しまないのは、非常にもったいないと思います。
ボジョレー・ヌーヴォーは、その年に取れたボジョレー地区のブドウを楽しめる「唯⼀無⼆のワイン」だからです。
ただ、普通にボジョレー・ヌーヴォーとして売られているワインでも、実は別物だった…なんてこともあるのをご存知でしょうか?
ボジョレー・ヌーヴォーには、意外と知られていないこともたくさんあります。
せっかくなら、どういうワインなのかを知ってから楽しみたくありませんか?
ということで今回は、現場で10年ソムリエをつとめてきた私が、ボジョレー・ヌーヴォーについてご案内いたします。
ボジョレー・ヌーヴォーについて詳しく知れば、より楽しく美味しく飲めると思いますよ!
目次
1.ボジョレー・ヌーヴォーってどんなワイン?
ヨーロッパでは昔から、豊作の時に感謝の意味も込めて、収穫祭を行っていました。
その中でも、フランス・ボジョレー地区の収穫祭を祝うために作られていたワインが、ボジョレー・ヌーヴォーです。
ボジョレー・ヌーヴォーは、その年に取れた「ガメイ」というブドウから作る「祝い酒」です。
祝い酒なので、座ってゆっくり味わうのではなく、気軽に飲んで祭りを楽しんでいました。醸造期間が数か月と短く、まるで水のようにさっぱりしているのも特徴です。
今でも味わい重視ではなく、パーティーなど雰囲気を楽しみながら飲むほうがいいですね。じっくり味を楽しみたいのであれば、他のワインを選んだほうがいいかもしれません。
こんな風に「ボジョレー・ヌーヴォー」は、他のワインと違い気楽に飲めるワインなのです。
2.ボジョレー・ヌーヴォーは2種類
「ボジョレー」と名前の付くワインは、フランスのボジョレー地区で収穫されたブドウを使ったワインのことを指します。
ボジョレーワインの中で、その年につくられた新酒だけが特別に「ボジョレー・ヌーヴォー」と呼ばれています。
画像:kawatoku.com
そして、ボジョレー・ヌーヴォーには2つの種類があります。
- ボジョレー・ヌーヴォー
- ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー
さらに⼀つ上のランクのものは「クリュ・ボジョレー」というのですが、これは後ほどお話しますね。
ちなみに…
ボジョレー:フランスのブルゴーニュ地方の南にあるボジョレー地区のこと
ヌーヴォー:フランス語で「新しい」
という意味があります。
ボジョレーワインそれぞれの特徴
フランスのボジョレー地区で収穫されたブドウを使ったワインは「ボジョレーワイン」と名乗ることができます。
ヌーヴォー
「ボジョレー・ヌーヴォー」は、フルーティーな味わいです。
渋みも少なく、冷やしてごくごく飲めます!
先ほどお伝えしたようにお祭りで飲まれるものなので、格式ばって飲むのは似合いません。
ワイワイガヤガヤ、家族や仲間で楽しく飲むのがおすすめです。
ランクとしては、最も下の格付けになります。
ヴィラージュ
ボジョレー・ヴィラージュには、2つの種類があります。
- ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー
- ボジョレー・ヴィラージュ
その年に収穫したガメイを使っているのが「ボジョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー」で、収穫してから2~3年熟成させたものが「ボジョレー・ヴィラージュ」です。
ですので、ヴィラージュのうちボジョレー・ヌーヴォーに分類されるのは「ボジョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー」のほうになります。
先ほど登場した「ボジョレー・ヌーヴォー」と比べ、「ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー」は、少し渋く重みがあり、品ある高級な感じがします。
クリュ
「ボジョレー」と名の付くワインの中で、最も質の高いのが「クリュ・ボジョレー」です。
クリュ・ボジョレーは、値段としては3,000円を超すものが多いですが、他の高額なワインと比べると安く買うことができます。
主にワイン専門店で取り扱われています。
フランス語で「新しい」という意味の「ヌーヴォー」と付かないので、ヌーヴォーやクリュのように、新鮮さを楽しむというよりも、一定の熟成期間が必要になるワインになります。
ヌーヴォーとヴィラージュの違いは?
ここまで色々とお話ししましたが、ボジョレー・ヌーヴォーは
- ボジョレー「ヌーヴォー」
- ボジョレー「ヴィラージュ・ヌーヴォー」
の2種類になります。
普段ワインになじみのない人にとっては、ややこしく感じるかもしれません。
ヌーヴォーを買ったつもりが、ヴィラージュ・ヌーヴォーだった、なんてこともあるようです。
でも、「ボジョレー・ヌーヴォー」と「ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー」は、両方とも手に入れやすく、自宅で飲んだりパーティーなどで楽しむにはもってこいです。
違いをあげるとするならば、
- ヴィラージュは若干値段が高い(といっても500円ほどの差ですが)
- やや味が渋く深みを感じられる
という点でしょうか。実際に飲み比べて、その違いを味わってみてほしいです!
3.ボジョレー・ヌーヴォーはコスパで選ぶ
実はボジョレー・ヌーヴォーに、コレといった選び方はありません。
元々お祭り用に作られているので、ボジョレーヌーヴォーは格式ばらずにラフに飲めるというのがポイントです。
味についても、販売している会社ごとに多少の違いはあれど、楽しんで飲むならほとんど気にならない程度の差になります。
ボジョレー・ヌーヴォーは、同じ地域・天候・場所で造られた、ほぼ同じワインです。
ですから、普段ワインを飲まない方がボジョレー・ヌーヴォーを味で選ぶことは難しい…かもしれませんね。
相場としては、
- ボジョレー・ヌーヴォー:約500~800円前後
- ボジョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー:約1,000~1,500円
大体が、このあたりになります。
個人的には、2,000円を超えているものは高すぎるし、値段が高いからおいしい、という訳ではないと思います。
普通のワインは大体一本あたり3,000円〜というところが相場ですが、ボジョレーヌーヴォーなら、その半分以下の値段で楽しむことができ、とてもコスパのいいワインです。
「奥深いワインの味を楽しみたい」という人は、別のワインを選ぶことをおすすめします。
ラベルのデザインなどで、気に入ったものを選びましょう!
4.ボジョレー・ヌーヴォーの美味しい飲み方
ボジョレー・ヌーヴォーは「フレッシュさを味わう新酒」です。
通常のワインはブドウを収穫してから、樽に保存して2~3年熟成させます。
この間に、種や皮が発酵して味に深みが増していきます。
ですがボジョレー・ヌーヴォーは、そうした熟成の期間がないので、通常の赤ワインで感じるような渋みや深みを感じにくいのです。
その分だけ、すっきりとした飲みやすいワインとなります。
冷やす温度は10〜12℃
普通の赤ワインは冷やしすぎると渋みが強くなるので、冷やしすぎはあまりよくないと言われています。
フレッシュさが特徴のボジョレー・ヌーヴォーは、冷やして飲むことでさらに美味しくなります。
白ワインのように、冷蔵庫で充分冷やしてから飲むと、さっぱりとして飲みやすくなります。
適温は「10〜12℃」
このあたりで冷やすと、おいしくなると言われています。
ワインは温度によって味が変化するものです。お好みに合わせて温度を変えてみてください。
ただし、コルクを開けてから長時間放っておくと、酸化して本来の味が失われてしまうので要注意です!
ボジョレー・ヌーヴォーは、よく冷やして開封後は早めに飲みましょう。
5.気になる今年の解禁日は?
2019年の解禁日は『11月21日』
解禁日は、毎年決まって「11月の第3木曜日」です。
ボジョレー・ヌーヴォーには、「解禁日」がありますが、これは、その日が来るまでボジョレーヌーヴォーを「絶対に売ってはいけない」というルールがあるからです。
解禁よりも前に、質の悪いワインをボジョレー・ヌーヴォーと偽って売られてしまうと、本物のボジョレー・ヌーヴォーが売れなくなってしまいますよね。
そこで、商人の間で解禁日ができた、というわけです。
今年のボジョレー・ヌーヴォーはいかに!?
毎年、ボジョレーワイン委員会からの評価がボジョレーヌーヴォーにはなされています。
ちなみに昨年は「理想的な条件の下、すばらしいヴィンテージへの期待高まるらしい…」でした。
そうはいってもあまり深く考える必要はないでしょう。ただシンプルに、楽しく飲んでいただければ良いと思います。
ラベルには毎年華やかな工夫が凝らされています。まさに「お祭りで飲むワイン」なのです。
昨年は、このようなパッケージで発売されました。
ラベルによって、ボジョレー・ヌーヴォーを飲む時の雰囲気も変わってきます。
お気に入りのものを探してみるのも楽しいと思います!
さいごに
一般的にワインというと、テーブルに向かってゆっくり味わう、というイメージがあるかもしれません。
しかしボジョレー・ヌーヴォーに関しては、そのイメージは忘れてください。
もともとボジョレー・ヌーヴォーは、祝い酒として作られ、座って楽しむというよりも、みんなでワイワイと盛り上がるためのものです。
ボジョレー・ヌーヴォーは渋みもなく、ごくごくと飲めてしまいます。大人数で盛り上がるにはもってこいのお酒です。
年に一度しか飲めない特別なワイン、ボジョレー・ヌーヴォーを楽しんでくださいね!