メンズ・テーラード・ジャケットおすすめ！プロの逸品＆着こなし術
大人の男性にとって、テーラードジャケットはとても身近なものですよね。ビジネスシーンでは多くの方が毎日のように着ていると思いますし、カジュアルな私服でも、おしゃれな大人を求める方には必須アイテムとなります。
そんな身近なテーラードジャケットですが、その歴史や着こなしのマナーは奥深いものがあるのをご存知でしょうか？普段何気なく着ているアイテムだからこそ、その成り立ちや時代背景などを知ると、より愛着を感じることができると思います。
今回は、テーラードジャケットの基本的な知識や着こなし方、おすすめのブランドや選ぶときのポイントなど、人気スタイリストの大山旬さんの意見を交えてご紹介させていただきます。
大山 旬（おおやま しゅん） のプロフィール
人気スタイリスト。日本最大級のファッション学習サイト「メンズファッションスクール」主宰。これまでに著書は5冊出版。累計8万部を突破。読売新聞、朝日新聞、NHK、TBS、テレビ朝日、フジテレビなどメディア出演も多数。
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1. テーラードジャケットの基本
1.1. 歴史あるテーラードジャケット
1.2. 代表的な３種類
1.3. テーラードジャケットの細かな違いと見るべきポイント
ポイント① ラベル（襟）の形
ポイント② 素材、生地
ポイント③ フロントデザイン
ポイント④ ポケット
ポイント⑤ ベント（背中の切れ込み）
ポイント⑥ サイズ感
2. テーラードジャケットのかっこいい着こなし
2.1. 着方
2.2. フラップ（ポケット）
2.3. ボタン
2.4. 袖
2.5. 腕まくり
3. おすすめジャケットブランド
4. まとめ
1. テーラードジャケットの基本
「テーラードジャケット」とは一体どういうものなのでしょうか。テーラードジャケットにも、細部には様々な違いがあります。まずは基本的なところから、テーラードジャケットにまつわる豆知識をご紹介していきます。
新しくジャケットを買うときの参考にしてみてください。
1.1. 歴史あるテーラードジャケット
テーラードジャケットは、スーツの上着のように襟のあるデザインのジャケットのことを指します。キレイに仕立てられたメンズの上着が全般的にテーラードジャケットと呼ばれています。
「テーラー（tailor）」は「仕立屋」
「テーラード（＝tailored）」は「仕立てられた」
という意味で、19世紀のイギリスで、モーニングコートの裾を切り落とした上着が寝間着や部屋着として使われていたのが始まりです。19世紀末から20世紀の初頭にかけてアメリカのビジネスマンがビジネスの場で着始めたのをきっかけに、世界的に普及しました。
日本では明治維新の前後から着られるようになり、だんだんとフォーマルな場面での服装や制服として定着してきました。現代ではカジュアルなオシャレとしても広く普及しています。
元々がフォーマルなので、歴史も種類も様々存在し、それぞれの着こなし方があります。
1.2. 代表的な3種類
ゲルマン系
画像：dunhill.com
英国文化を中心とするスタイルで、『DAKS』や『dunhill』をはじめ、ロイヤルワラント（英国王室御用達のブランド）な英国系のブランドの作り出すテーラードジャケットがその代表格です。
威厳のあるワイドラペル、美しいドレープ(シワの寄り)などが大きな特徴で、絞られたウエストや、直線的な肩の傾斜などに見られる、体のラインに沿った構築的なシルエットが魅力的です。
ラテン系
画像：amazon.co.jp
英国式スタイルから独自のスタイルに変化させて生まれた、フランスのクラシックなスタイルが基本のテーラードジャケットです。
同じラテン系でもイタリアとフランスでは細微な違いがあるのですが、『エルメネジルド・ゼニア』や『ブリオーニ』などに見られる、エレガントで柔らかい印象が特徴です。角ばったシルエットで堅い印象の英国スタイルより、柔らかいフェミニンさが増すことで、男の色気を引き出してくれるスタイルになっています。
肩幅が広めで、丸みを持たせたラインやほどよく絞られたウエスト、腰回りが吸い付くような裾が特徴として挙げられます。
アメリカ系
きっちりとした英国紳士風のゲルマン系、華やかで色気を醸し出すラテン系ときたら、最後はテーラードジャケットの種類の中でも、最もスポーツテイストの強いアメリカ系のスタイルです。
ベースは英国式のスタイルですが、肩の角ばりを無くなり、ウエストもあまり絞らないボックスシルエットが特徴です。『ラルフローレン』など、実用的でスポーティーなテーラードジャケットは、幅広い層から人気です。
1.3. テーラードジャケットの細かな違いと見るべきポイント
ポイント① ラぺル（襟）の形&幅
ジャケットの襟の部分は、上と下で呼び名が違います。「上襟はカラー・下襟はラペル」といい、下襟（ラペル）の形の違いで、襟の種類が分類されています。
ラペルのデザインには他にも様々なものがありますが、ここでは以下の3つについてご説明していきます。
- ノッチド・ラペル(ひし形襟)
- ピークド・ラペル(剣襟)
- ショールカラー（へちま襟）
定番の「ノッチド・ラペル」
ノッチとは「V字型の刻み」という意味です。ひし形の上襟と下襟からなっており、一般的にこれがスーツの定番となっています。
華やかな「ピークド・ラペル」
ピークは「先の尖った」という意味です。下襟の先端が上に尖っている襟おり、ドレッシーなタイプのテーラードジャケットに多く見られます。
優雅な「ショールカラー」
首からショールを掛けたようなデザインで、主にタキシード向けの襟で優雅な印象を与えます。その形から、へちま襟と呼ばれることもあります。
スーツの表情を決める「ゴージライン」
上襟（カラー）と下襟（ラペル）を縫い合わせるラインのことを「ゴージライン」といいます。ちなみに、ゴージとは「顎」を意味します。
首筋から8〜9cmの位置で、角度が50度であるのが一般的です。このゴージラインが、高めにあるか低めにあるかで、テーラードジャケットの表情は大きく変わります。
ポイント② 素材、生地
テーラードジャケットは様々な生地から作られていて、特に高級ブランドなどでは、こだわりポイントの1つになっています。
基本の生地は、「ウール100％」のものです。スーツスタイルなど、定番な場面ではウール100％のものを選びましょう。カジュアルシーンの場合は、「コットンやリネン」、伸縮性を高めるための「ポリエステルやニット素材」など、軽くて着やすい種類があります。
大山旬さんのコメント 素材の種類だけでなく、その厚みによっても選び方がは変わります。特に、リネンは重さによっても、春秋と夏で使い分けが必要です。春〜夏 シアサッカー、リネン、トロピカル 秋〜冬 ウール、フランネル、ツイード
ポイント③ フロントデザイン
- シングルかダブルか
- 2つボタンか3つボタンか
基本的にフロントデザインのこだわりはここに尽きます。スーツの基本仕様は、写真左上の「シングルの２ボタン」といわれています。
| ２ボタン | ３ボタン | |
| シングル | 70年代から現在に至るまで、スーツの主流デザインです。Vゾーンを上手に作って着こなします。 | 90年代から流行した細身のスーツがこのデザインです。3ボタンのうち、真ん中だけ留めるのが最もエレガントです。 |
| ダブル | ダブルジャケットではVゾーンは狭くなります。下のボタンだけ留める着方を、ロングターンといいます。 | ボタンを2つ留めるのが最もエレガントです。正統派のブリティッシュ・ダブルブレストです。 |
ポイント④ ポケット
テーラードジャケットのポケットの種類は、フォーマルからカジュアルまで、どのテイストに適したものなのかを判断する基準の一つです。
ポケットについているフタのことを「フラップ」といいますが、これは雨蓋とも称され、雨や塵がポケットの中に入るのを防ぐためのものです。
「屋外では外に、屋内では内にしまう」のがフォーマルな場でのマナーになります。
両玉縁ポケット
フラップ（フタ）が無く、玉縁（たまぶち）が上下に出来たタイプです。室内での使用を前提に仕立てられていて、フォーマルなジャケットに用いられます。タキシードなどに採用されることが多いデザインです。
片玉縁フラップポケット
先ほどの両玉縁ポケットに、フラップ（フタ）が付けられたポケットです。片方しか玉縁が見えないのでこう呼びます。現在のスーツなど、最も多く採用されるデザインです。
パッチポケット
ポケットをそのまま貼り付けたようなデザインです。パッチワークのように生地を表から貼り付けたポケットのためパッチポケットと呼ばれます。カジュアルなジャケットによく見られるデザインです。
フラップパッチポケット
先ほどのパッチポケットにフラップ（フタ）がついたタイプです。ハンティングジャケットなどに採用されることが多く、最もスポーティーでカジュアルなデザインです。
ポイント⑤ ベント（背中の切れ込み）
ベントとは、スーツの背中部分に入っている切れ込みのことを指します。後ろ姿で差をつけたいときの注目ポイントです。
画像：ft-style.com
ノーベント
最も歴史が古く、タキシードなどに採用されることが多いエレガントなデザインです。機能性の求められない、社交パーティーなどの場で着用される形です。由緒正しい最もクラシックなデザインですが、ビジネススーツではあまり見られません。
センターベント（シングルベルト）
ビジネスシーンで最も多く見られるのがこのデザインです。軽快でスポーティーな印象を与えるアメリカ系のブランドスーツにはよく採用されます。そもそも乗馬の時に動きやすくするためのデザインなので、別名は「馬乗り」ともいいます。
サイドベンツ（ダブルベンツ）
威厳と風格ある印象を与え、英国スーツによく見られます。腰に吊った剣(サーベル)を、抜き差ししやすくするために生まれたデザインの名残りと言われており、別名は「剣吊り」です。センターベントよりも動きやすく、突っ張った感じがしないのが特徴です。
ポイント⑥ サイズ感
テーラードジャケットは、元々オーダーメイドの服でした。ですが、既製服となった今でも、最も大切なのは「サイズ感」です。サイズ感は「肩幅・着丈・身幅・袖丈」の4つで判断します。
画像：uktsc.com
○肩幅
「肩で着る」という言葉がある通り、肩幅がしっかりとフィットしていると、快適に着ることができます。つまんでみて1cmぐらいの余裕があっても良いです。肩から落ちていると、だらしない印象を与えてしまいます。
○着丈
ジャケットの着丈は、お尻の中間くらいを目安としてください。それよりも長い場合は、着丈を調整してみてください。これが大きな違いを生みます。ヒップ全体に丈がかぶさると、バランスが悪く見えるので注意が必要です。
着丈はジャケットの印象を大きく左右するポイントです。短いとカジュアルに、長いとクラシックな雰囲気になります。最適な着丈は人によって変わりますが、大体の数値を求めることのできる公式を紹介しておきます。
最適な着丈＝（身長-25cm）/2-1cm
○身幅
ウエスト部分はフィットしつつ、第一ボタンを締めた際に、不自然なシワが入りすぎないものが理想的です。シワがたくさん入る場合は、サイズが小さすぎます。腕とウエストの間には、拳１個分ほどの余裕をもたせるのが良いでしょう。
サイズ感のあっていない大きめサイズを着てしまうと、着くずれしやすくなってしまいます。他に、冬はカーディガンを中に着込むなど、季節によってはインナーについても考慮する必要があります。
○袖丈
ジャケットの袖が長すぎると、ジャケットに「着られている感」を与えてしまいます。あまり身長が大きくない人や、痩せ型の人は特に注意が必要です。
目安は、親指の付け根から袖端までが11センチです。写真を参考にしてみてください。多くの場合、既製品はお直しを前提としているので、長めに作ってあります。
大山旬さんのコメント
カジュアルなジャケットの方が、着丈は少し短めでも良いでしょう。スーツはお尻の中間位置がちょうど良い長さですので、ジャケットはそれより1センチ前後短くてもOKと考えてみてください。
ご参考にスーツの着こなし方の動画をご紹介します。ジャケットについては、始めの1分程度で詳しく説明されています。
2. テーラードジャケットのかっこいい着こなし
テーラードジャケットは、大人の男性にとって欠かせないアイテムです。きれいめで清潔感のある印象を与えることができ、女性からの支持も断トツなテーラードジャケットは、様々な場面で幅広く活躍します。
ここでは、テーラードジャケットを着る際の基礎知識と注意点をおさえていきます。
大人っぽいの着こなしには、こういった部分をどれだけ意識することができるかがポイントです。また、カジュアルなジャケットを用いた大人のコーディネートは『 大人カジュアルを魅せよう｜おすすめメンズジャケットと着こなしコーデ術』でも紹介しています。
2.1. 着方
ジャケットを着る時に、前後のバランスと、左右のバランスを整えるようにします。
- 襟を持ち、斜め上に引き上げながら、ジャケットと肩を合わせる
- ジャケットの肩を合わせながら、前方と下方向に落ち着かせる
- 脇を引き締めるイメージで、襟の左右のバランスを整える
整った綺麗なシルエットは、写真のようにX字型になります。
2.2. フラップ（ポケット）
前述したように、フラップとは雨や塵がポケットの中に入るのを防ぐためについている”フタ”のことです。 「屋内ではしまうのがマナー」とされていますが、これはフォーマルな場での話ですので、カジュアルシーンでは出したままでもOKです。
また、ポケットに重たいものを入れると形が崩れやすくなってしまいますし、膨らんであまりカッコよく見えません。ジャケットのポケットにはなるべく物を入れず、ハンカチ程度の軽くて薄いものにしましょう。
2.3. ボタン
基本的に、2つ以上のボタンがある時、一番下のボタンをとめないことを「アンダーボタンマナー」といいます。これにより、テーラードジャケットの綺麗なX字のラインを作ることが出来ます。
座る時には、全てのボタンを外すのがマナーです。以下は、立っている時のボタンの留め方についてです。なお、袖のボタンの止め忘れには十分注意しましょう。
| ２ボタン | ３ボタン | |
| シングル | 上の一つだけを留める | 真ん中だけor上の二つ |
| ダブル | 体型に合わせて一つまたは二つ | 第２ボタンと第３ボタンをとめる |
2.4. 襟
テーラードジャケットの基本的な着こなしとして、
- ラペルの幅
- シャツの襟の長さ
- ネクタイの大剣の幅
を揃えるというものがあります。ラペル（下襟）が細過ぎるものは、ネクタイとのバランスが悪くなるので上級者向けです。8〜9cm程度の幅があると、まとまりやすいです。
大山旬さんのコメント
好印象が残りやすい、胸元のVゾーンをマスターするためには、ディンプルをしっかりつけてネクタイを隙間なく締めれば、それだけで素敵なスーツスタイルが出来上がります。
2.5. 腕まくり
カジュアルなテーラードジャケットの場合、腕まくりをして気軽に着ることが出来ます。Tシャツなどと組み合わせて、ラフに着こなしてみましょう。ユーモアのきいた大人の着こなしも素敵ですね。
袖まくりは、大人のおしゃれな着こなしの１つですよね。袖まくりが違和感ないテーラードジャケットは、基本的に綿・麻などで作られたカジュアルなものになります。春や夏にカジュアルなシーンでジャケットを着る際におすすめです。
3. おすすめジャケットブランド
ここからは、大山旬さんおすすめのジャケットブランドを紹介していきます。
価格別のブランド紹介やジャケットおすすめページは『おすすめのジャケットブランド｜カリスマスタイリスト厳選５選』や『ネイビージャケットおすすめ｜春夏に着たいメンズジャケット特集』も合わせてご覧ください。
大山旬さんのコメント
私服で使える新しいジャケットを購入するにしても、ネイビーが断然おすすめです。
ジャケットには様々な価格のものがありますので、あまり無理をせず、納得のいくショップで購入していただければと思います。ただ、上質なものに触れることはファッションを考える上でとても大事なことですので、試着だけでも高級ブランドのものに触れてみることをおすすめします。
おすすめ
コットンギャバジャケット
【blazer’s bank.com】●JAPAN QUALITY●
時代を問わない、ベーシックでユニバーサルなブレザースタイルのジャケットです。胸回りからウエストにかけての美しいフォルムが、上品さと色気を同時に引き立てます。シンプルで、かつ柔らかな着心地を実現したイタリアンテイストのジャケットです。
以下は、『THE SUIT COMPANY（スーツカンパニー）』のものづくりの様子が垣間見える1分半ほどの動画になります。スペシャルコラボ商品を生み出す内容ではありますが、見ると誠実さが感じられると思います。
大山旬さんのコメント
様々な高級ブランドがありますが、スーツカンパニーは手の届きやすい価格帯で、十分素敵なものが手に入ります。
| THE SUIT COMPANY｜【blazer’s bank.com】●JAPAN QUALITY●コットンギャバジャケット | |
| カラー | ネイビー |
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大山旬さんのコメント
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大山旬さんのコメント
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4. まとめ
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。今回は、奥深いテーラードジャケットの歴史から、その種類や着こなし、おすすめのブランドまでご紹介いたしました。
テーラードジャケットと一口に言っても、様々な種類やこだわるべきポイントがあることが、お分かりいただけたのではないでしょうか？
みなさまの今後のテーラードジャケット選びの参考になれば幸いです。
