大人なら知っておきたい!『形・素材・柄』で見るネクタイの種類
現代のビジネスマンにとって欠かせないネクタイ。体の中央に位置しているため、実は予想以上に目立つポイントです。近年のクールビズやビジカジの影響で、目にする機会がやや減ったものの、重要なビジネスシーンでは欠かせないマストアイテムです。
ネクタイは、いざ選ぶとなるとスーツと同じくらい真剣に考えるポイントになりますよね。様々な種類の中から本当に良いものを見極めるとなると、迷ってしまうかもしれません。
そこで本ページでは、ネクタイの種類を『形』『素材』『柄』の3つの分野ごとにご紹介していきます。ポイントや知識を蓄えて、流行や季節によってさりげなく使いこなしましょう。今回は、人気スタイリストの大山旬さんにネクタイ選びのアドバイスをいただいています。ぜひ、参考にしてください。
大山 旬(おおやま しゅん) のプロフィール
人気スタイリスト。日本最大級のファッション学習サイト「メンズファッションスクール」主宰。これまでに著書は5冊出版。累計8万部を突破。読売新聞、朝日新聞、NHK、TBS、テレビ朝日、フジテレビなどメディア出演も多数。
この専門家の他の記事を見る1.ネクタイの基礎知識
まずは意外と知らないネクタイの歴史や名称について、一緒に見ていきましょう。
ネクタイの起源は1800年前にさかのぼる
ネクタイの最も古い起源は、約1800年前の2世紀初頭のローマの兵士たちの防寒具でした。日本では、19世紀半ばにジョン万次郎(中濱万次郎)がアメリカから持ち帰ったことが始まりといわれています。その後、大正時代末期ごろの洋服普及に伴い、ネクタイも大衆に広まりました。
ネクタイの名称
1本のネクタイを構成している各部所にも、実はいろいろな名称があります。ここではネクタイの構造と名称についてご紹介します。
❶ ノット ❷ ディンプル
❸ ループ ❹ バー・タック(かんぬき留め) ❺ ハンド・スリップ・ステッチ(たるみ糸)
❻ 大剣(エプロン) ❼ 中継ぎ(ダイヤゴナル・シーム) ❽ シェル ❾ 小剣(チップ)
❿ 裏地(チッピング) ⓫ ヘリ縫い(ハンド・ロールド・ヘム)
ふだん何気なくしているネクタイですが、実はこれだけ様々な部分から構成されていて、それぞれに名称があるのです。
画像&出典:ワイシャツの百科辞典
日本のネクタイの生産量
以下の表をご覧ください。こちらは日本におけるネクタイ生産調査の結果を表したものです。(単位:千本)
2007 | 2008 | 2009 | 2010 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | |
国産合計 | 9,646 | 8,180 | 6,684 | 6,115 | 5,705 | 5,131 | 5,092 | 4,755 | 4,704 |
輸入を含む総合計 | 40,179 | 35,002 | 32,017 | 31,166 | 29,216 | 25,224 | 25,294 | 24,314 | 22,051 |
出典:東京ネクタイ共同組合
2007年には、4,000万本近くのネクタイが市場に出回っていましたが、2015年は2,200万本と、約半分まで減少しているのが分かります。これは最初にも触れたように、ノーネクタイスタイルのクールビスやビジカジスタイルが流行している影響があると考えられます。
3種類あるネクタイの『形』
ではここから、ネクタイの種類について具体的にご紹介していきます。
まずは”大剣”の幅によって、3種類の『形』に分けることができます。一般的には、ジャケットのラペル(襟)と同じ幅がバランスが良いとされています。
画像:e-necktie.jp
✤豆知識✤ラペルとは?
画像:jobinfo.me
ジャケットの襟の部分のうち、下の部分を「ラペル」といいます。ラペルの形の違いで、襟の種類が分類されています。大きくは、以下の3種類に分けることができます。
- ノッチド・ラペル(ひし形襟)
- ピークド・ラペル(剣襟)
- ショールカラー(へちま襟)
詳しくは「メンズテーラードジャケットの基本!着こなし術とおすすめブランド3選」をご覧ください。
①【幅4~6cm】ナロータイ(スリム)
ナロータイは、別名スリムとも呼ばれます。幅が約4〜6cmのものです。シャープな印象を与えますが、ビジネスシーンには向いていません。カジュアルシーンである、パーティーなどで使いましょう。
画像:uktsc.com
②【幅7~8cm】レギュラータイ
レギュラーは、ワイドとスリムの中間のサイズです。幅は約8cmが一般的です。最も基本的な形です。
画像:amazon.co.jp
大山旬さんレビュー

③【幅10cm~】ワイドタイ
ワイドは、ボリュームがあり重厚感のあるものです。幅は、10cm以上の幅広です。クラシックな印象を与えます。今は、流行ではないのであまり目にする機会はありません。
【番外編】スクエア・タイ
スクエア・タイは、これまでに紹介した3種類とは違って、剣先が水平にカットされているものです。別名”スクエア・エンド”とも呼ばれています。幅は4〜6cmです。ニットタイでは、主にこの形が採用されています。
画像:amazon.co.jp
2.季節によって『素材』を使い分けよう!
一般的なネクタイの素材は、主にシルク(絹)が使用されています。シルクは通年で使える便利な素材です。今回は、季節ごとの代表的な3種類をご紹介します。
【秋冬】ウールタイ
画像:tiestation.jp
ウール素材は、羊毛が原材料の天然素材です。シルクと違い光沢がないため、合わせるスーツやシャツも光沢がないものを選ぶと良いでしょう。優しさと温もりが秋冬にぴったりな素材です。簡単に季節感を取り入れることができます。
【春夏】リネンタイ
リネンは、生地も薄くて見た目も爽やかなので、涼しげな印象を与えることができます。夏の季節感を感じることができる素材です。色柄によっては春先でも使えるでしょう。ウール素材とは対照的な立ち位置です。
【通年】ニットタイ
ニットタイの”ニット”とは、毛糸ではなく縫い方の名称の1つを指しています。柔らかみのある素材感は、カジュアルな印象を与えることができます。シルク素材を選べば、1年を通して着用することができます。
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ニットタイの詳しい内容については「ニットタイの基礎知識と人気スタイリストから教わるベストな結び方」をご覧ください。
✤豆知識✤ディンプルとは?
ディンプルとは、結び目の下にくぼみを付けることを指します。ネクタイを結ぶ時に、最も重要なポイントの1つといえるでしょう。これがあるのとないのでは、ネクタイの立体感が大きく変わります。以下の動画を参考にしてみてください。
3.失敗しない!ネクタイ『柄』おすすめ3選
①レジメンタル
レジメンタルとは、斜めのストライプのことを指します。ネクタイの中で基本となる柄で、シャープな印象を与えることができます。2色で構成されているものを選ぶと、すっきりまとまるでしょう。
②ドット柄
ドット柄は小紋柄とも呼ばれています。なるべく細かいドットを選ぶことをおすすめします。やはり、色は2色までとしましょう。
③無地
無地のネクタイは、この画像のように全体に織りが入っているものだと退屈な感じが出ません。色は、ネイビー・グレーなど基本的なものがおすすめです。
4.まとめ
最後までご覧いただきましてありがとうございました。ネクタイは様々な種類がありますが、シンプルで使い回しが効き、上品な雰囲気のものを選びましょう。
まとめると…
形:①ナロータイ ②レギュラータイ ③ワイドタイ ④スクエア・タイ
素材:①ウールタイ ②リネンタイ ③ニットタイ
柄:①レジメンタル ②ドット ③無地
今回は、ネクタイの種類を中心にご紹介しました。「【おすすめネクタイ6選】プロに学ぶ大人に着こなすためのネクタイ選び」では、より詳しい内容をご覧いただけます。ぜひ、参考にしてみてください。